珍品マカロニ

nostalji2010-04-08

1999年に開催された第1回マカロニ大会で観て、気に入ってダビングしてもらった『The Silent Stranger』(1969年/監督:バンス・ルイス)を再見。日本でロケしたマカロニ西部劇です。1884年、雪のクロンダイクで無法者に襲われたインディアン(日本人?)から託された巻物を持って流れ者(トニー・アンソニー)が日本(大阪?)にやって来るんですな。迎えにきた侍(浜田晃)とは言葉が通じず、誤解から争いになります。浜田晃とトニー・アンソニーのチャンバラは、『レッド・サン』(1971年/監督:テレンス・ヤング)の三船とブロンソンね。アイデアは『レッド・サン』より、この作品の方が早いのだよ。
大阪では、北村英三を首領とする侍集団と大前均を首領とする野盗集団が対立しており、村人から金を巻き上げる野盗の子分を殺したことから流れ者は争いに巻き込まれます。野盗集団にはガトリング銃をブッ放す外人(ロイド・バチスタ)が用心棒をしており、ハチャメチャな設定です。流れ者は金儲けのために巻物を利用して、アッチについたりコッチについたりして両者を咬み合わせ、壊滅させようとするんですが、北村英三と大前均が叔父・甥の関係で突如仲直りしてドンチャン騒ぎ。北村英三が養っていた少女(何故かこの子だけが英語が喋れる)を大前均に嫁がせようとしたことから、悲しむ少女のために流れ者は、友人となった浜田晃と野党一派を襲い、再び乱闘となります。流れ者が旧式火縄銃を改造した銃でもって、『暁の用心棒』のごとく、巧みに悪党たちを倒していくところはトニー・アンソニーの本領発揮です。
この作品は、トニー・アンソニーが自ら製作し、ストーリーも担当しています。当時トニー・アンソニーはルチアナ・バルッチと愛人関係にあり、前年バルッチが出演した『ガンマー第3号・宇宙大作戦』(東映/監督:深作欣二)の撮影に彼女と来日して、時代劇に非常に興味を持ったようです。刺青シーンや、忍者や湯女の刺客、白粉ベットリの小姓など、見知った事(殆どが誤解)を全て盛り込んでいますね。後年、彼が主演した『盲目ガンマン』も、マカロニ座頭市でしたねェ。