現代ウエスタン

nostalji2010-09-06

C・J・ボックス:著(野口百合子:訳)の『震える山』(講談社文庫:2010年4月15日第1刷発行)を読了。“MWA賞作家のベスト作品にして米国ミステリーの頂点。現代のウエスタン!”の惹句に釣られて購入したものです。主人公はワイオミング州猟区管理官で、同僚の自殺により、彼が担当していたノース・ジャクソンン地区に赴任になります。担当地区はジャクソンの街からイエローストーン国立公園まで続く4900平方キロの広大なエリアで、馬での移動が不可欠なグランド・ティートンの山岳が大部分を占め、大自然を背景にした真に西部劇の世界です。
主人公は、検死結果に不審を抱き、自殺でなく殺人と考え、単独で捜査を開始します。そして、自分も何者かに命を狙われます。イエローストーン国立公園から逃げ出した熊(グリズリー)の保護や、鹿(エルク)の密猟者との対決など、猟区管理官としての任務も並行して描かれ、さらに、本筋とは直接関係ない留守宅(主人公は単身赴任)での事件もあって、多層構造のミステリーとなっています。複数の事件が並行して描かれるのは、テレビドラマでも見られ、ミステリーの最近の主流ですね。シリーズ化(既に9冊発表)されているので、次刊も読みたいで〜す。