日本公開は8年後

nostalji2013-02-07

西部劇DVDの『征服されざる西部』(1952年/監督:バッド・ベティカー)を観る。南北戦争が終わり、ハモンド牧場の長男ダン(ロバート・ライアン)・養子のニール(ロック・ハドソン)、牧童頭のギルガン(ジェームズ・アーネス)がテキサスに帰ってきます。ダンは地道な牧場経営より資本家としてテキサスに帝国を築く野望を持っているんですな。彼はオースティンに行き、牧畜業の大ボス・ハーディン(レイモンド・バー)の妻ローナ(ジュリー・アダムス)と恋に落ちます。賭博場でハーディンに負けて借金をしたダンはハーディンに罵倒され、浮浪者となっていたダンディ(デニス・ウィーバー)たち軍隊仲間を従え、ハーディンが支配する牧場の牛を盗むのね。ハーディンはニールを捕えてダンの情報を訊きだそうとしますが、ローナから報せを受けたダンに撃ち殺されます。ハーディンにとって代わってボスとなったダンは、鉄道用地を買収するために情け容赦なく小農場主を追い出しますが、ダンディが丸腰の農夫を撃ち殺したことから、保安官となったニールがダンを逮捕します。しかし、ダンはギルガンを撃って逃亡し、自分の手で決着をつけるために父親のイラ・ハモンド(ジョン・マキンタイア)がダンを追って……
この作品は1960年に日本公開されたのですが、それはロック・ハドソンの人気が出てきたのと、当時のテレビではお馴染みの顔(『ガンスモーク』のジェームズ・アーネスとデニス・ウィーバー、『ペリー・メイスン』のレイモンド・バー)が出ていたからでしょうね。逆に言えば、公開が見送られたのは娯楽西部劇にしては爽快感がなく、内容的にも凡作だったからでしょう。バッド・ベティカーの演出は独特の感覚で単純になりがちな従来の娯楽西部劇とは違った魅力を見せるのですが、この作品には今イチそれが不足しています。ライアンとハドソン、それにマッキンタイアの兄弟・父子関係を情念豊に描けば深みのある作品になったと思うのですけどね。ライアンを慕っていたジュディス・ブラウンがラストで心変わりしてハドソンと結ばれるのは、まさに娯楽西部劇で、取ってつけた感じで〜す。