アカデミー賞受賞作品だが

nostalji2013-04-21

録画保存していた三船敏郎の“宮本武蔵三部作”を観ることにする。本日は第一部の『宮本武蔵』(1954年・東宝/監督:稲垣浩)ね。武蔵(三船敏郎)と又八(三国連太郎)が武士として出世する野心を胸に故郷を去って関ケ原に行くところから始まります。又八は婚約者のお通(八千草薫)にとめられるのですが、武蔵の情熱にその気になってフラフラついていくのね。関ケ原では合戦には出られず塹壕堀りばかり、挙句の果ては負け戦。敗走の途中、野盗の後家お甲(水戸光子)と娘の朱美(岡田茉莉子)に助けられます。又八は朱美に惹かれますが、朱美は男らしい武蔵に心を寄せるのね。野盗の辻風典馬(阿部九洲男)一味がお甲の家を襲いますが、武蔵が典馬を木刀で打ち殺して撃退します。お甲は武蔵を誘惑しますが武蔵にはねのけられ、腹いせに又八を誘惑。又八はお甲と夫婦になり、朱美を連れて三人で出奔します。武蔵は又八のことを報せに故郷の宮本村に帰りますが、又八の母お杉婆(三好栄子)の裏切りで落ち武者狩りに追われて山の中へ。心の荒んだ武蔵は暴れまわり、見かねた沢庵(尾上九朗右衛門)はお通を伴って武蔵を捕えます。沢庵は武蔵を千年杉に吊り下げ、野獣のような心を戒めるのね。又八がお甲と夫婦になったことを手紙で知ったお通はショックを受け、武蔵を助けて一緒に逃げますが、お通は追手に捕えられます。お通を救うために姫路城に忍び込んだ武蔵は、沢庵からお通が無事でいることを知らされ、幽閉された天守閣で学問を学び、精神を鍛練します。3年後、お甲は京で料亭を営み、朱美は武蔵を胸に秘め、又八はヒモのような生活。一方、武蔵は剣の道に進むことを決心し、お通に別れを告げますが、お通は武蔵を慕って後を追うのです。
人物の性格描写、演出技法とも最高だった内田吐夢の“宮本武蔵五部作”と比べると、やや一本調子ですが、モブシーンを撮らせると稲垣浩は巧いですね。エキストラたちが躍動しています。ところでこの作品は、1955年のアカデミー賞外国語映画賞を受賞しているんですよ。英語題名は『Samurai』ね。現在だったら大騒ぎになったのでしょうが、当時はピンとこなくて、授賞式に映画関係者の出席はなく、ロサンゼルスの総領事が代理でオスカーを受け取ったとのこと。
画像は、本位田又八三国連太郎。ラストは自分の生きる道がわからず悶々としている又八と、自分の生きる道を見つけた武蔵の対比になっていましたね。残念ながら、二部以降に三国連太郎の出演はありません。