先日亡くなったジュリアーノ・ジェンマ(Giuliano Gemma)を偲んで『荒野の一つ星』(1967年/監督:カルビン・J・パジェット)を観る。ジュリアーノ・ジェンマをJJと表記していたブログがあったので、誤解のないようにね。ジェンマのマカロニ西部劇は17本(『夕陽の用心棒』『荒野の1ドル銀貨』『続・荒野の1ドル銀貨』『続・さすらいの一匹狼』『南から来た用心棒』『さいはての用心棒』『星空の用心棒』『荒野の一つ星』『怒りの荒野』『暁のガンマン』『怒りの用心棒』『荒野の大活劇』『ベンとチャーリー』『カリフォルニア』『ザ・サムライ荒野の珍道中』『シルバー・サドル』『魔境のガンファイター』)あるが、私が最も好きな『南から来た用心棒』は去年再見したばかりだったので、放ったらかしていたDVDから『荒野の一つ星』を観ました。
ジェンマは判事に任命されてグリンフィールドの町にやってきた保安官のゲイリー。『荒野の1ドル銀貨』でも『さいはての用心棒』でも主人公の名前はゲイリーだったけど、カルビン・J・パジェットはゲイリー・クーパーのファンだったのかな。
でもって、赴任したゲイリーは、市長のゴルド(ダニエル・ヴァルガス)から金塊輸送の護衛を頼まれます。このゴルドが悪い奴で、自分の悪事がばれないように無法者のフレッド・ロイド(セルジュ・マルカン)を保安官にしようと考えていて、メキシコの山賊を使ってゲイリーを殺そうとするのね。ところが、賭博師のマーティン(ジャーマン・コボス)の助力もあって山賊たちを撃退、金塊を無事に届けます。この襲撃シーンは、荷馬車に工夫がこらしてあってグッドです。
これに失敗したゴルドとフレッドは、丸腰の男をゲイリーが殺したという罠を仕掛け、殺人犯として捕えます。留置所で牧場主から牛泥棒の黒幕がゴルドで、その証拠をプレスコットという男が握っていることを知らされたゲイリーは脱走し、自分の汚名とゴルド一味の悪事を暴くのです。
爽やかジェンマが飛んだり跳ねたり回転したりして、ガンプレイや殴り合いを見せてくれますが、カルビン・J・パジェットの演出は全体的に凡庸で、褒められたものではありません。人気の高い『荒野の1ドル銀貨』だって、マカロニ初期の作品ということで強い印象が残っていますが、作品的にみれば今イチですからね。マカロニ特有のネットリ感がないのは、ジェンマのキャラもありますが、カルビン・J・パジェットの本場西部劇に似せようとした作風にありま〜す。