テレビドラマも映画も基本は同じ

nostalji2014-10-18

「一スジ、二ヌケ、三ドウサ」が映画作りの三原則と日本映画の父・牧野省三が言った。一スジは脚本、ニスジは映像、三ドウサは演技ね。でもって、それらを束ねる監督の力量が映画の良し悪しを左右します。ところがテレビドラマでは監督(演出家)の存在は低いものになっていますね。セット&ビデオ撮影が殆どで映像テクニックは必要なく、俳優が良くて、脚本が面白ければ監督なんて、あってなき存在です。
映画が斜陽になり、映画で時代劇を撮っていた監督がテレビに移った1970年代のテレビ時代劇が質的に高かったのは、監督の力量(脚本の手直し、フィルム撮影、演技指導)によるものだと思っています。80年代はテレビ時代劇全盛でしたが粗製濫造(テレビ局に責任あり)で視聴者から飽きられ、現在のようなていたらくになりました。
現在必要なのは、時代劇が映画のものだった1963年にテレビ時代劇に革命をもたらした『三匹の侍』を演出した五社英雄のような存在でしょうね。『三匹の侍』(フジ)がどんなに革新的だったかは、志賀信夫:著の『テレビ番組事始』(NHK出版)に詳しく書かれています。良いホンしか使わないということで徹底的に脚本を直し、写真斬りや二台のカメラを並べておいて二人の俳優がカメラをにらみながら対決するという映像的工夫や人がバサッと斬られる音響効果、リハーサルの時から衣装をつけての立回り、平幹二郎五社英雄の要求に応えるために自宅で殺陣の練習を半徹夜で3日続けたとのこと。『三匹の侍』は、時代劇の可能性を広げて見せ、70年代に多大な影響を与えたので〜す。