瓢箪から駒

nostalji2015-06-24

録画していた『日本侠客伝』(1964年/監督:マキノ雅弘)を観る。悪辣な新興ヤクザに昔気質のヤクザが対決するというシリーズ第1作目です。
深川の材木運送は木場政組の縄張でしたが、仁三郎(安部徹)と剛造(天津敏)の沖山組は車夫を引き抜き、警察署長や代議士まで買収して問屋を勧誘します。木場政親分(伊井友三郎)が病死し、条件の良い沖山に依頼が多くなり、木場政組の仕事が減っていくのね。子分たちはいきり立ちますが姐さん(藤間紫)に止められます。そんな時に小頭の長吉(高倉健)が除隊して帰ってきて、組の再建開始。横恋慕する仁三郎に不当な借金を負わされた芸者・粂次(南田洋子)のために一肌脱いだ木場政組の鉄(長門裕之)が仁三郎に殺されますが、証拠がありません。沖山組が軍への納入期限を逆手にとって運送代を二倍に値上げしたことから問屋衆は木場政組に泣きつきます。長吉たちは期限に間に合わせるために総出で取り掛かりますが、沖山組が妨害。木場政に恩義のある客分・清治(中村錦之助)は女房・お咲(三田佳子)に別れをつげ、沖山組に殴りこんで死にます。清治の死により、期限までに運送を終えた長吉は、許婚者おふみ(藤純子)に黙って別れ、子分(大木実、田村高広、松方弘樹)たちと沖山組へ殴り込み……
当初は中村錦之助の主演で企画(健さんが死んで、錦之助が殴りこむものだったと考えられる)されたものでしたが、錦之助のスケジュールがとれず、撮影途中で脚本が書き直され、健さんの主演に変更されました。そのため、錦之助の出演シーンが浮いたものとなり、映画としてはバランスの悪いものになっています。しかし、健さんを主演にしたことでこれまでになかった健さんの魅力がひきだされ、シリーズの主人公になるだけでなく、“網走番外地”や“昭和残侠伝”につながっていきま〜す。