平さんが出ていたので

nostalji2016-10-28

友人に送ってもらった東映時代劇『江戸っ子繫昌記』(1961年/監督:マキノ雅弘)を観る。落語の“芝浜”と、お馴染み“番町皿屋敷”を題材とした作品です。
魚屋の勝五郎(中村錦之助)は酒好きとなまけ癖が玉に瑕。恋女房のお浜(長谷川裕見子)に泣きつかれ、しぶしぶ出かけた芝浜で百両入った財布を拾って帰ります。金太(千秋実)や虎吉(桂子金治)たち長屋の連中を集めて大振舞。酔って寝て起きてみると、財布がありません。お浜から夢を見ているんだと言われ、意見された勝五郎は真面目に働くようになるのね。ある夜、勝五郎は6年前に旗本・青山播磨(中村錦之助の二役)に見初められて腰元になった妹・お菊(小林千登勢)の夢を見ます。何度も夢枕に立つ妹のことが心配になった勝五郎は青山邸を訪問。播磨は将軍家から拝領した高麗皿を割ったお菊を手討ちにして謹慎処分になっています。播磨が幕府の旗本に対する態度に不満を持って水野十郎左衛門(平幹二朗)たちと旗本白柄組を結成したことを面白く思わない酒井雅樂頭(柳永二郎)の配下・秋山(阿部九洲男)が、播磨を罪にとうつもりで割れた高麗皿を下げ渡したことがわかり、愛する播磨のためにお菊が罪を被ったんですな。勝五郎はうなだれる播磨を見て、播磨が心からお菊を愛していたことを知ります。そこへ上意書を持った秋山が現れ、播磨は秋山を殺し、役人相手に壮絶な立回り……
怪談話として有名な“番町皿屋敷”ですが、ここでは幕府の旗本潰しの犠牲者として描いています。それに落語の“芝浜”をくっつけた構成は成功していると言い難いですね。マキノ雅弘は会社の注文通り、そつなく演出しているといった程度です。先日亡くなった平幹二朗が水野十郎左衛門役で出演しており、若々しい姿で町奴相手にチャンバラを見せてくれま〜す。