映画評論家の役割

nostalji2018-07-26

移動や待ち時間で読んでいた荻昌弘:著の『映画批評真剣勝負《映画論編》』(近代映画社:2012年4月10日第1刷発行)を読了。絶版中だった評論集から9編を新書として1冊にまとめたものです。特に面白かったのは、先輩映画評論家・津村英夫との「映画批評」についての対談と、小説家・三島由紀夫との「映画芸術」についての対談でした。
単に映画紹介するだけでは評論家とはいえず、映画の観方についての啓蒙が必要なんですな。啓蒙というのは、人間を見る観方を教え、あるいは芸術を見る観方を教えるのであって、解説や鑑賞の手引きといったものではないとのこと。いくら人気のある作品でも、こういうところは実につまらん、こんなものにいい気になって喜んじゃいけないということを言うのも啓蒙なんです。荻さんは、批評は映画を観る前でなく、観た後に読むことを期待しています。観る前に批評を読んで影響されるのでなく、自分の鑑賞能力と対決することで映画ファンにレベルアップしてもらいたいんで〜す。