時代劇から

nostalji2018-08-28

WOWOWの『黒書院の六兵衛』(全6話)を観了。浅田次郎の同名小説のドラマ化です。
慶応4年、江戸城が不戦開城となり、尾張藩士・加倉井隼人(上地雄輔)が城引き渡しの先遣として城内に入ります。旗本・的矢六兵衛(吉川晃司)なる御書院番士が居座っているんですな。黙って正座したまま口をきかない六兵衛を隼人は退去させる必要があるんですが、勝海舟寺島進)と西郷隆盛(武内力)との約束で城内での悶着は厳禁。隼人は六兵衛の居座りの意図を探りますが……
奇想天外な物語です。的矢六兵衛とはいったい何者なのか、何のために居座っているのか、周囲の詮議や説得に一切耳を貸さず、意図することや要求などを一言も口にしない、ただ無言で座り続けるだけ。主人公は動かないので、周囲で右往左往する人間を描いていくことになります。所作と表情だけで見事に演じている吉川晃司の存在感もさることながら、時代劇に慣れている俳優が揃っているので、この不思議な世界に違和感なくのめり込めました。
原作でも的矢六兵衛の素性はわからないままなのですが、時代が変わり人々の心が揺れ動く中にあって、強い意志を持って信念をつらぬく姿には理屈は必要ありません。久方ぶりに私が共感できた時代劇で〜す。