欲張りすぎ

録画していた『トレイン・ミッション』(2018年/監督:ジャウマ・コレット・セア)を観る。通勤列車の中で思わぬ陰謀に捲き込まれ、危険なミッションに挑むことになった男を描くサスペンスアクションです。
住宅ローンと息子の学費を抱えたマイケル(リーアム・ニーソン)が、10年間も務めてきた保険会社を突然リストラされます。いつもの通勤列車で帰路についた彼の前に見知らぬ女(ヴェラ・ファーミガ)が現れ、乗客の中からある人物を捜し出したら10万ドル与えるという奇妙なゲームに誘われるんですな。ヒントは、馴染みの乗客でなく、終着駅でおりる、盗品を隠したカバンを持っているプリンと名乗る人物。マイケルは高額報酬に抗えず、元警官のスキルを駆使して乗客を捜しはじめますが……
純粋なサスペンス映画を期待したのですが、途中からは殺し屋と格闘したり、列車の暴走・脱線といったCGアクション映画になりました。色々詰め込み過ぎてサスペンスとしての面白さが希薄になりましたな。主人公が金に困っている元警官という素性を知っているのは限られた人物で、陰謀に加担している怪しい人物がすぐに想像つくのも興覚め。ニューヨークに滞在した時、列車の検札システムに興味をひかれたのですが、その検札システムを活用して、目的の人物を絞り込んでいくところだけが面白かったです。これがヒッチコックだったら、走る列車という閉ざされた空間で目的の人物を捜すというシチュエーションを巧く活用して、余計なアクションをつけ加えることなく、上質なサスペンス映画に仕上げたろうと、ふと思った次第で~す。

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