たまには読書

町山智浩春日太一の対談による『町山智浩春日太一の日本映画講義』(河出新書:2019年6月30日初版発行)を読了。時代劇編ということで、『七人の侍』、内田吐夢の『宮本武蔵』五部作、三隈研次の『剣』三部作(「斬る」「剣」「剣鬼」)、『子連れ狼』シリーズ、黒木和男の『竜馬暗殺』と『浪人街RONINGAI』、五社英雄の『御用金』と『人斬り』について彼らが持っている知識を駆使して語りつくしています。
七人の侍』の最初の企画は、「剣豪列伝」のようなオムニバス・ドラマを考えたようですが、「起承転結」がないというので、侍が百姓を守る話にしたとのこと。侍を集めるシークェンスに「剣豪列伝」で考えたものが役に立ったようです。「剣豪列伝」にないキャラクターが三船敏郎演じる菊千代で、百姓と侍を繋ぐ存在として考案。久蔵のキャラは当初三船の予定だったことから、宮口精二の役柄としては大きなものになったんですね。
三隈研次が監督した『子連れ狼』シリーズの5作目『冥府魔道』が、同じ三隅が監督した最初の3作と比べて出来が悪かった理由もわかり、勝新と若富が不仲になった経緯など、撮影の裏側の人間ドラマがわかります。知らないことが色々あって、時代劇初心者だけでなく、カルトな時代劇ファンにも役立ちま~す。

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