西部劇の次は時代劇

録画していた『多十郎殉愛記』(2019年/監督:中島貞夫)を観る。守るべき者のために剣をとる男を描いた時代劇です。

腹違いの弟に家督を譲って脱藩した多十郎(高良健吾)は、京の貧乏長屋で小料理屋の女将おとよ(多部未華子)に世話をやかれながら無為な日を送っています。藩でも随一の剣士だったことから桂小五郎永瀬正敏)の護衛を頼まれますが、それを断り、おとよの用心棒家業。しかし、桂を慕って弟・数馬(木村了)が京にきたことから、溝口蔵人(寺島進)率いる見廻組・抜刀隊に目をつけられます。故郷に帰るように説得する多十郎と、自堕落に生きる兄を責める数馬。そこへ見廻組が急襲し、数馬は目を負傷します。おとよに数馬を託し、二人が無事に京を離れるまで、多十郎は囮となって見廻組や奉行所の捕り方の前に姿を現しますが……

中島貞夫が20年ぶりにメガホンをとり、チャンバラ時代劇に情熱をかけた作品ということで期待したのですが、残念ながら今イチ。チャンバラを見せる設定が弱いのが致命的です。高良健吾は巧演しているし、寺島進も貫禄を見せてグッドなのですが、この二人が1対1で決闘する必然性はないんですよ。スッタフから斬られ役(福本清三が見事に斬られます)まで、時代劇の伝統を伝えたいという思いは画面から伝わってきますけどね。リアルな殺陣でなく、ケレン味たっぷりに、高良健吾が斬って斬って斬りまくるチャンバラ映画を観たかったで~す。

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