黄門の次は彦左衛門

録画していた『天下の御意見番』(1962年・東映/監督:松田定次)を観る。

正月の江戸城総登城の日、大名の堀尾因幡守(原建策)と旗本の鮫洲重左衛門(山形勲)が先を争って大喧嘩。老中・本多上野介(小沢栄太郎)は大名びいきで、因幡守が謹慎3日に対して、重左衛門は閉門50日・半地取り上げという厳しい裁決。一心太助松方弘樹)からそのことを聞いた大久保彦左衛門(月形龍之介)は、将軍・家光(北大路欣也)に意見すべく登城しますが、大目付・松平伊豆守(片岡千恵蔵)に諫められます。彦左が屋敷に戻ると、大阪の米問屋難波屋の娘・お遊(丘さとみ)が押しかけ女房として来ていてビックリ。難波屋は恩人なので追い返すこともできません。重左衛門は赦免されますが、旗本の駕篭登城禁止令がでます。お遊のアイデアで彦左は一計を案じ、旗本たちはタライに乗って登城。江戸町民はヤンヤの喝采。伊豆守は彦左をお役目につけることを家光に進言しますが、それを悪用して本多上野は彦左を十万石大名の役目である大金がかかる大手三門の警備に任じます。彦左の忠臣ぶりを知っている水戸宰相・頼房(市川右太衛門)が資金を援助。吉原の妓楼で因幡守たち大名と倒幕の密議をこらしていた本多家の家老・竹内金兵衛(香川良介)を、旗本六方組の加賀爪甚十郎(木村功)が捕えます。大手門で因幡守の横車をはねつけたことから彦左は切腹を命じられますが、甚十郎が金兵衛たちのことを水戸頼房に知らせ……

中村錦之助の“一心太助”シリーズの好演で大久保彦左衛門のイメージが定着していた月形龍之介を主役に格上げ。東映の御大二人がゲスト出演して月形をリスペクトしています。“一心太助”では錦之助が太助と家光の二役でしたが、松方弘樹北大路欣也という次代を担うホープを起用。脚本は小国英雄で、直参旗本と外様大名の対立を、ユーモアを交えて展開。中でも丘さとみのお遊が巻きおこす珍騒動は笑えます。主役を手玉にとるような痛快なお喋り娘には、満足、満足で~す。

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