週に一度は西部劇

初詣のついでに立ち寄ったブックオフでゲットしたままだった『ロード・トゥ・ヘブン』(1997年/監督:カレン・アーサー)を観る。時代的には西部劇ですが、激動の時代を逞しく生きた女性の人生ドラマです。

1835年のジョージア州、広大なロシュ農園で育ったジョージア(レイチェル・リー・クック)とフィミ(ティナ・マジョリーノ)は大の仲良し。しかし、フィミは父親が不慮の死を遂げ、齢の離れた姉・サラ(ダナ・デラニー)が住むテキサスへ移住することになります。テキサスは独立をめぐってメキシコと紛争中。アラモ砦陥落の知らせを受け、サラとフィミは2千人の女性・子供たちとルイジアナ州境まで逃げのびます。サラの夫・バートレット(パワーズ・ブース)は義勇兵としてヒューストンの軍に参加。ヒューストン軍はメキシコ軍に勝ち、テキサスはアメリカの占有となります。

一方、ジョージア州では先住民のオクラホマへの強制移住が行われ、従わない先住民に対して自警団によるリンチが発生。ジョージアは先住民の村が襲われるのを目撃。ジョージアの母・チェロキーは先住民との混血で父のルイス(マイケル・ヨーク)は先住民と親しくしていたことから屋敷に火が放たれます。壁には「犬と豚と先住民は去れ」の文字。

それから7年後、辛い記憶を胸に秘め、ジョージアアンジェリーナ・ジョリー)は美しく成長。叔父がなくなり、叔父のところにいた奴隷たちを引き取ります。その中にいたマーサ(サリー・リチャードソン)は、叔父が奴隷に生ませた娘でジョージアにとっては従姉妹。ジョージアは家族として接しようとしますが、マーサは奴隷の子は奴隷と言って拒否。しかし、ジョージアの世話をしているうちに打ち解けていきます。ジョージアは医者のピーターと愛しあうようになり結婚。医者が不足しているテキサスへ移住することをピーターは決意。ジョージアはテキサスで農園経営するために、今では家族同様となったマーサや、奴隷たちを連れて同行。旅の途中でマーサは、奴隷のリーダー格であるエド・トム(トニー・トッド)と愛しあうようになります。

テキサスではコマンチが白人を襲撃しており、バーレットはテキサス・レンジャーとしてコマンチと戦う毎日。サラとフィミ(アナベス・ギッシュ)は何度もコマンチから命を狙われ、フィミは先住民を激しく憎むようになります。コマンチとの和平もつかの間、バーレットは落馬して、打ちどころが悪くて死亡。そのアッケない死に、サラはショックを受けます。そんな中、フィミはウィリアム(マシュー・グレイブ)と結婚。

テキサスはコレラが猛威をふるい、ジョージアは愛する幼子を失いますが、綿花の栽培は軌道にのり、農場の経営者として成功を収めていきます。フィミとの再会を果たしますが、先住民と奴隷制を巡って口論。違う道を選んだことを感じ取ります。

南北戦争が始まり、ピーターもウィリアムも従軍し、女たちは南軍の弾丸作り。そこで迂遠になっていたジョージアとフィミは顔を合わします。ジョージアの戦争への批判に、サラは共鳴し、女性参政権運動をしているフィミにジョージアを仲間にするように促します。南北戦争終結し、黒人奴隷は解放されることになりますが、エド・トムたちはジョージアの農園で働く道を選択。北軍が進駐してきてジョージアの屋敷は駐屯場所として接収されます。北軍の大尉が横暴で、ジョージアの娘に手を出そうとしたことからジョージアは大尉を射殺。エド・トムが大尉の死体を処分し、大尉は行方不明ということで落着。ピーターとウィリアムも帰還し、フィミと一緒に女性参政権獲得へ向けて行動する中で再び友情を確かめ合いますが、ジョージアは不治の病に侵されており、家族に見守られながら波乱の生涯を終えるのです。

大河ドラマの総集編のような感じで物語が展開。主人公が直面する先住民問題、奴隷問題、出産リスクと疫病の恐怖、銃後の女たちと女性の自立といったテーマが多岐にわたって描かれていますが、ドラマとしての厚みはどうしても薄くなりますね。演技者としての、若き日のアンジェリーナ・ジョリーの魅力は充分に味わえま~す。

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