友人が送ってきた『闇を走る馬車』(1947年・大映/監督:松田定次)を観る。駅馬車強盗との戦いを描いたアクション映画です。
明治中期、高崎街道を走る駅馬車が強盗団の待伏せにあいますが、馭者の信行(嵐寛寿郎)と英二(三原純)の片山兄弟の活躍で事なきを得ます。片山家は熊谷で屈指の繭問屋でしたが、父の代に高利貸の小栗仙十郎(北竜二)からの借金で倒産。信行は英二の恋人おきぬが仙十郎からの借金ゆえに身を売るはめになっているのを知って、許婚者の敦子(喜多川千鶴)の父・高原(林寛)の銀行から金を借りて救ってやります。金の出所を知った仙十郎は銀行取り潰しを計画。高原に多額の預金の即時払出しを要求します。高原が東京の第一銀行に預託していた金を英二が運んでくることになりますが、輸送途中に金もろとも英二は行方不明。英二に罪を被せようする強盗団の仕業と考えた信行は、高原が全財産を抵当として第一銀行から借りた金の輸送に、馭者として馬車に乗り込み……
GHQによりチャンバラ映画が作れなくなり、時代劇スターは刀から拳銃に持ち替えます。嵐寛寿郎が主演したこの作品もそのひとつ。駅馬車を襲う強盗団との銃撃戦です。強盗団の黒幕はすぐに予想がつき、サスペンスの面白さはありません。三原純は『白鳥の騎士』を観て初めて知ったのですが、50年代前半までは中堅の役者だったんですねェ。