パロディ期待で

録画していた『日本以外全部沈没』(2006年/監督:河崎実)を観る。原作は小松左京の『日本沈没』をパロディ化した筒井康隆のナンセンスSF。

2011年、原因不明の天変地異で日本以外はチベットアンデスの高山地域を除いて全部海に沈没します。田所博士(寺田農)によると、地球温暖化マントルが動き、挟まれた日本列島だけが突出したとのこと。3年後、日本は世界からの難民で人口は5倍になります。通用する通貨は円だけで、外貨は大暴落して裕福な暮らしをしていた外人たちも極貧状態。亡命してきた各国の首脳も安泉首相(村野武範)にゴマスリをしています。外国人犯罪が多発し、石山防衛庁長官藤岡弘)によって対外国人治安維持組織GATが結成され、日本語を解せない者、日本文化に馴染めない者は国外へ追放。そして、田所博士が日本も沈むと予言したことから……

新聞記者の俺(小橋賢児)とテレビ局の古賀(柏原収史)の二つの視点があり、俺に絞って描いた方が良かったですね。日本映画の悪いクセで、原作がもっているナンセンスの面白さにウエットな情感を入れたものだから原作の良さが半減しています。この手の映画は、徹底的にナンセンスを追究しない限り傑作にはなりませ~ん。