懐かしのB級サスペンス

友人に送ってもらった『警視庁物語・自供』(1964年・東映/監督:小西通雄)を観る。シリーズ23作目のサスペンス映画です。

貧民街を流れるドブ川から行李詰めの死体が発見されます。捜査1課の戸川主任(神田隆)以下、長田部長刑事(堀雄二)・林刑事(花沢徳衛)・三田村刑事(今井健二)・金子刑事(山本麟一)・北川刑事(南廣)・渡辺刑事(須藤健)が捜査を開始。刑事たちの聞き込みから、被害者はノミ屋の坂井(浜田寅彦)とわかります。坂井に借金のカタで靴磨きの営業鑑札を取り上げられた男が容疑者として浮かび上がり自供しますが、犯行内容はデタラメ。坂井の死亡推定時刻にはアリバイがあり、男は金もなく食うに困って刑事が差し出すラーメンが食べたかっただけ。その後の捜査で、坂井が満州で暮らしていた時代に内縁の妻だった川井里江(楠田薫)の家を何度も訪ねており、死亡推定時刻にも訪問していたことがわかります。死体の入っていて行李も里江のものとわかり……

悪臭が漂ってくるようなドブ川、東京だけでなく地方都市まで至る所にありましたな。そして、その周辺に住む貧民層。血を売って金に換える血液銀行もありました。そんな血で輸血すると肝炎になることがわかったのは後年のこと。自供した男は、血を売りすぎて薄くなり、売血もできなくなった男でした。

物語は満州引揚げ時の悲劇が背景にあり、犯人の娘役・本間千代子が好演して、涙を誘いま~す。