懐かしの映画

東映チャンネルで放送された『終電車の死美人』(1955年・東映/監督:小林恒夫)を観る。女性殺害事件を追う警視庁捜査一課の活動を描いたクライム・サスペンスです。

三鷹駅止まりの終電車内で女性が殺害されます。手掛かりはロケットの中の男の写真と、有楽町駅発売の乗車券。警視庁捜査一課の阿川課長(宇佐美淳也)は捜査本部を開設し、三井主任(山形勲)のもと長谷川刑事(堀雄二)たちが聞き込み捜査を開始します。殺された女性は、恋人である写真の男のために金を工面しようとしており、早川(東野英治郎)という不動産屋の仲介で殺された日に土地を売却。売却代金50万円が奪われていたことがわかります。早川には多額の借金があり、容疑者と目されましたがアリバイが成立。早川と一緒にいた若い男が殺された女が持っていた乗車券と連番の乗車券を持っており、早川が若い男に強奪を依頼したと考えられ、刑事たち(伊藤久哉や花沢徳衛など)は早川の事務所に出入りしていた若い男を捜索します。男は高野三郎(南原宏治)とわかり、三郎の妻(星美智子)を尾行しますが……

東京の人口は750万人、犯人の身長は5尺5~6寸ぐらい、円タクなどというセリフが出てきて時代を感じさせます。当時主演スターとして活躍していた俳優は出演しておらず、主役のような存在はいません。刑事たちの集団劇ね。刑事たちが足を使ってコツコツ捜査していく様子をドキュメンタリータッチで描き、見事なカッティングで最後までスリリングです。犯人がわかってからの追跡劇に結構時間をかけているのは、南原宏治と星美智子が出演者の中で知られた存在だったからでしょう。刑事たちが聞き込みする人物が多数出てきますが、土地売却金の授受を目撃した喫茶店のウエイトレス役でデビュー間もない頃の中原ひとみが出演。その他大勢の中でも光っていま~す。