今年最後は懐古趣味時代劇

友人に送ってもらった『水戸黄門漫遊記・鳴門の妖鬼』(1956年・東映/監督:伊賀山正光)を観る。月形龍之介の“水戸黄門”シリーズ10作目です。

阿波・蜂須賀家では主席家老・桜井主膳(高松錦之助)の老齢をいいことに、次席家老・岩橋軍太夫(大邦一公)が藩政を壟断。藩主・宗勝(沢田清)は軍太夫に操られるまま。特産藍問屋・四国屋(坂東蓑助=8代目三津五郎)は軍太夫と結託して悪事のし放題。江戸の奥方に事の次第を告げる主膳が送った使者は阿波踊りに紛れて殺害されます。それを目撃していたのが、水戸黄門月形龍之介)・助さん(月形哲之介)・格さん(加賀邦男)の一行で、悪政に苦しむ阿波の人々のために事件究明に乗り出します。常陸の豪商に変装した黄門さまは、不正の証拠をつかむために四国屋を訪れ、藍玉購入の商談。軍太夫が私腹を肥やしている手掛かりをつかみます。帰途、尼寺で祈願をこめる巡礼娘おつると出会い、おつるの両親を捜すことを約束。軍太夫は黄門一行を幕府の隠密とみて、暗殺を命じますが……

「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します」のセリフで有名な巡礼おつるを登場させたのは、阿波人形浄瑠璃の演目だからですな。おつるの母親役で喜多川千鶴が出演。

悪党たちが黄門一行を襲って悪事がばれるというのは定番的展開。出演者の顔ぶれを見ればわかる通り、10作目までは併映用のB作品扱いでしたが、11作目からはA級作品となりま~す。