懐古趣味時代劇

友人に送ってもらった『水戸黄門漫遊記・人喰い狒々』(1956年・東映/監督:伊賀山正光)を観る。月形龍之介の“水戸黄門”シリーズ9作目です。

甲武信権現の怒りを鎮めるために若い娘が生贄になっている城下町に、水戸黄門月形龍之介)・助さん(月形哲之介)・格さん(加賀邦男)・お蝶(千原しのぶ)の一行がやってきます。黄門さまが泊まった宿屋に白羽の矢が立ち、宿屋の娘(丘さとみ)の身代わりとなって黄門一行が甲武信権現へ。一行には何の異変もおこりませんでしたが、帰ってみると娘は狒々にさらわれ、一家は斬殺されています。城主の丹波守(戸上城太郎)は天刑病(癩病)に侵され、家臣の棚倉(清川壮司)は丹波守の病を治すために、邪教の天幻教に資金を提供して祈祷を依頼。天幻教のお源婆(日高綾子)は権現様の祟りといつわり、狒々を操って娘たちを人身御供にしていたのです。甲武信嶽の洞窟に捕らわれていた娘たちを救った黄門一行の前に大狒々が現れ……

月形黄門さまの鋭い眼光に睨まれて狒々もタジタジ。前作の化け猫といい、怪獣路線ですな。

ハンセン病はいまだに社会の偏見や差別が残っているくらいで、この作品が公開された当時は恐い病気と一般的に思われていました。現在なら完全に差別表現になりますが、当時は許されたのでしょうなァ。