月が変わっても

録画していた『悪名一代』(1967年・大映/監督:安田公義)を観る。3億円の遺産をめぐる事件に巻き込まれた朝吉と清次が大暴れするシリーズ13作目。

山陰線の汽車に乗った朝吉(勝新太郎)は、渡り仲居のお澄(森光子)に初恋の男に間違われ、彼女が働く旅館に宿泊。そこには、アメリカから帰国する伯母から3億円の遺産を相続するという蔦江(浜田ゆう子)が沖縄の源八(上田吉次郎)に軟禁されており、朝吉は源八から蔦江を助け出します。蔦江は二代目シルクハット(長門勇)の妾で、シルクハットから逃げ出そうとしており、朝吉はシルクハットと談判に行き、シルクハットの妹・お美津(坪内ミキ子)と結婚していた清次(田宮二郎)と再会。源八は3億円が諦めきれず、シルクハットと対立するお十夜小池朝雄)一家に話を持ちこんだことから……

『続・悪名』に出ていた源八が再登場。前回と同様に大組織に頼み込んだことから事件が大きくなります。こすっからい上田吉次郎のキャラがグッド。刃物を使わずに鉄拳制裁が“悪名”シリーズの特徴だったのですが、この作品ではお十夜にお美津が殺され、匕首を持って殴りこんだ清次が傷を負い、朝吉が代ってお十夜を刺し殺す展開。警察に出頭するラストもこれまでにないものでした。マンネリ打破のためだったのでしょうが、清次も朝吉もドスを振りまわすのは興覚めで~す。