西部劇といっても

西部劇パーフェクトコレクションの『西部に来た女』(1949年/監督:フレデリック・デ・コルドヴァ)を観る。遺産に絡む険悪な従兄弟二人の問題を東部からきた歌手が解決する物語。

アリゾナで広大な土地を支配するオハラ将軍(チャールズ・コバーン)に招かれて、東部から美しい女性歌手リリアン(イボンヌ・デ・カーロ)がやって来ます。オハラの甥リー(スコット・ブラディ)とグラント(ジョン・ラッセル)は従兄弟同士ですが犬猿の仲。リーとグラントはリリアンを一目見て好きになります。オハラの財産を相続するのはリーとグラントだけで、オハラが亡くなった後、遺産をめぐって血なまぐさい争いがおこることを町民は恐れています。リリアンは二人の間に入って、仲をとりもとうとしますが……

現代の記者がオハラ家とリリアンの話を取材するために町にやって来たところから物語は始まります。彼はリーの仲間だった老人、グラントの酒場のバーテンだった老人、オハラ将軍の牧童だった老人から話を聞きますが、リリアンに関して三人の意見は食い違っているんですな。『羅生門』のような設定は面白いのですが、中途半端な演出で効果がでていません。従兄弟の名前を南北戦争の将軍と同じにしてコメディのような味付けを狙ったのでしょうが、それも中途半端。撃ちあいのない、西部劇とはいえないイボンヌ・デ・カーロの魅力だけが売りの作品で~す。