文芸時代劇

nostalji2016-08-01

友人が送ってくれた時代劇DVD『鮫』(1964年・東映/監督:田坂具隆)を観る。真継伸彦の文芸新人賞作品の映画化で、獰猛な魚“サメ”の名で呼ばれる男の半生を描いています。
越前の海で鮫獲りをしている流人の若者は漁民からサメと呼ばれ差別されています。流人狩りの侍たちに部落を襲撃され母(風見章子)を殺され、生き残った鋳物師の老人(加藤嘉)と京に向かいますが途中で老人は寒さと飢えで死亡。仲間とはぐれた女(木暮美千代)と道連れになりますが、欲望のはけ口にされ、女が持っていた肉が人肉とわかって女を捨てて逃げます。京に来たものの、食べ物はなく四郎佐(千秋実)という盗賊の仲間入り。窃盗・傷害・殺人と悪の道に染まったサメは分け前のことから四郎佐を殺し、足軽となって戦場へ。仲間たちから一目置かれる存在になりますが、足軽は消耗品とわかり元海賊の筑紫の源次(加東大介)と野盗集団を結成し、金持ちや貴族の屋敷を襲います。暴虐の限りをつくし、女郎たちとの刹那的快楽にふけりますが、心は充たされぬまま。ある夜、尼寺を襲い、尼僧(三田佳子)をさらって犯そうとしますが……
シークェンス毎に山場があり165分の時間が長く感じません。佐藤勝の土俗的な音楽も作品にマッチしてグッド。ただ、テーマとなる主人公の心の浄化が、小説だと文章で巧く表現できるのでしょうが映像だとピンときませんな。最後に腰砕けといった感じの作品で〜す。