録画していた『座頭市二段斬り』と『座頭市逆手斬り』を観る。『座頭市二段斬り』(1965年・大映/監督:井上昭)は、市が按摩の修行をした麻生の宿に10年振りに訪れると、師匠の彦の市は殺され、娘のお小夜(坪内ミキ子)は女郎にされ、郡代(春本富士夫)の慰み者にされそうになっているんですな。宿場は郡代と結託したヤクザの辰五郎(沢村宗之助)が支配しており、彦の市は握っていた根付けから辰五郎の用心棒(加藤武)に殺されたことがわかります。辰五郎の賭場で、賭博師・井戸尻(三木のり平)のイカサマを市が見破ったことから、井戸尻は娘を置いて辰五郎一家から追い出されることになるんですが、市と仲良くなった井戸尻の娘(小林幸子)が、父親のために市の仕込み杖を盗み出して……
三木のり平が人の好いイカサマ賭博師を好演しており、カツシンとのやりとりが一興となっています。全体としては平凡な出来ですが、ギターを主体としたメロディは、これまでにない伊福部の音楽で新鮮な感じがしましたよ。
『座頭市逆手斬り』(1965年・大映/監督:森一生)は、強盗殺人の罪で捕まっている片瀬の島蔵とひょんなことから牢内で知り合った座頭市(勝新太郎)は、彼から自分の無実を晴らしてくれる兄弟分の黒馬の仙八と親分の荒磯の重兵衛(石山健二郎)への伝言を頼まれるんですな。牢を出た市は、矢場で坊主姿の百太郎(藤山寛美)と知り合い、一緒に旅をしますが、傷を負った商人の面倒を見ているうちに、百太郎は商家からもらった謝礼を独り占めしてトンずらします。そして、仙八を訪ねた市は、仙八に監禁されていたお米(滝瑛子)から、重兵衛と仙八が島蔵を罠にはめたことを知らされるんです。その頃、市の名を騙って豪遊する百太郎は……
寛美とカツシンの掛け合いが見どころです。市と戦う強敵はいませんが、前作では実験段階だった逆手二刀流の立ち回りが見せ場ですね。シリーズ11作目となり、中ダルミを防ぐ努力をしているのが伺えま〜す。