録画していた『新座頭市物語・折れた杖』(1972年・東宝/監督:勝新太郎)を観る。旅の途中で事故にあった老婆の三味線を持って市が銚子にやってくるんですな。女郎になっている老婆の娘・錦木(太地喜和子)を身請けするために、座頭市は万五郎(小池朝雄)の賭場で荒稼ぎをし、怒った万五郎は用心棒(高城丈二)に市を狙わせます。用心棒の高城丈二は酷薄な感じがよく出ていて良いですね。逆に、錦木の情夫役で中村嘉葎雄が出演していますが、彼でなくてもいいような役でもったいないです。
両手が使えなくなった市が、仕込み杖を手首にしっかりと縛りつけ、両手で支えて斬りまくる殺陣が見どころね。この発想はマカロニ西部劇『続・荒野の用心棒』から影響を受けたんじゃないかなァ。カツシンの演出は独りよがりのところが少しありますが、映像に凝っていて悪くありませ〜ん。
“帰ってきた座頭市”的な1989年の『座頭市』を除いてシリーズ全作品を再見したのですが、はっきり憶えているものもあれば、殆ど憶えていなかったものもあって、それなりに楽しめました。初見の時は上出来と思っていた作品が、順を追って観ることで前作品の焼き直しシーンだということが分かったりしてね。それでも、どの作品にも見どころがあって面白いです。メクラだと馬鹿にして襲ってくるチンピラ悪党を瞬時に斬り倒す爽快感に気分はスッキリね。チンピラ政治家め、国民を何も知らないメクラだと思って馬鹿にするんじゃないぞ。