週に一度は西部劇

先頃、ラクエル・ウェルチ(82歳)が亡くなり、彼女の西部劇ということで、裸にポンチョ姿の『女ガンマン皆殺しのメロディ』や、黒人男優ジム・ブラウンとのベッドシーンが話題となった『100挺のライフル』は印象に残っているので、10年以上前にビデオで観ただけで内容を殆ど憶えていなかった『バンドレロ』(1968年/監督:アンドリュー・V・マクラグレン)を再見。

南北戦争直後のテキサス、南軍くずれのディー(ディーン・マーチン)が仲間と銀行を襲うものの、妻のマリア(ラクエル・ウェルチ)と買物にきた牧場主が銀行を訪れ、仲間のひとりが彼を撃ったために保安官のジョンソン(ジョージ・ケネディ)たちに見つかり捕えられます。そのことを旅先で首吊役人から知ったディーの兄メイス(ジェームズ・スチュアート)は首吊役人に化けてディーたちを救出。ジョンソンたち自警団がディー一味を追って町が空っぽになった隙にメイスが銀行からまんまと1万ドルを強奪。ディーたちは買物帰りのマリアを人質にしてメキシコへ逃げ込みます。メイスはディーと牧場をはじめたいと考えており、ディー一味に合流。マリアに恋しているジョンソンが執拗に彼らを追いますが、メキシコ山賊バンドレロが姿を現し……

銀行ギャングの逃亡、追跡する保安官、そこに美女がからみ、ひたすら襲ってくる山賊の出現と、60年代末期の西部劇としてはクラシックな設定です。襲ってくるのがインディアンでなくメキシコ山賊というのがマカロニ全盛時の影響ですな。首領が倒されて山賊たちが退却するのは、酋長を倒されたインディアンと同じパターン。

金で買われて結婚したウェルチは牧場主を愛しておらず、旅をしているうちにマーチンと愛しあうようになり、マーチンが山賊の銃弾を浴びてウェルチの腕の中で息をひきとるのはいいですが、スチュアートまで死ぬのは頂けません。これもマカロニの影響か。マクラグレンの演出は、ディーン・マーチンジェームズ・スチュアートジョージ・ケネディのキャラを巧く活かしており、悪人になりきれない男たちを見事に描いています。だけど、当り前すぎて、今イチ印象に残りませ~ん。